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ベトナム航空(飛行機の航行速度の件)

Exciting Saigon / ホーチミンベトナム

2003年2月、ベトナムに行ったときのことです。ベトナム航空でホーチミン空港 Tan Son Nhat International Airport に到着しました。到着早々気分を上げたのは、乗務員が乗客に混ざって到着ロビーに現れたこと。そして機長が若かったこと。機長は制服の袖と肩に4本線が入っています。その便の機長は少々ワル男風、30代前半と思しき人でした。上着は来ておらず、ズボンは若干腰穿き、長身を揺らしながらオレオレ風に歩いていました。イヤーカッコいい。ベトナムのフラッグシップでキャプテンを任される、きっと大変なエリートなんでしょう。

ベトナム航空 Boeing 787

さて、この旅の帰路は、ハノイ発羽田行き。飛行機の航行速度についての考察はここから始まります。ハノイ⇒東京の航空機はとんでもなく巡航速度が速いのです。行き(成田⇒ホーチミン)が6時間ちょいかかったのに、ハノイ⇒羽田は正味4時間。単にハノイホーチミン間の距離だけでは説明できません。そして機内のモニターで飛行状況を見ていると、対地速度がどんどん上昇し、約1100km/Hに。え?音速に近づいてる、飛ばし過ぎじゃ?空中分解するのでは?ベトナム航空のキャプテンはイケイケなのでぶっ飛ばすのだろうか???機内でドキドキしてしまったのでした。

もちろんこれは偏西風の影響。そしてここで、対地速度と対空速度の違いを理解しなければならないのです。対地速度は陸地に対しての巡航速度、対空速度は実際に航空機が飛んでいる場所の空気に対する速度です。航空機の速度は、対空速度でコントロールされます。

一般的に民間のジェット旅客機は、音速の85%位の速度で飛行します。音速に達すると衝撃波が発生し、騒音が爆上がりするほか機体の損傷にもつながります。音速の85%であっても主翼の周辺では音速に達するほどの気流が発生します。だからこの速度が旅客機の実用として上限となります。

では音速はどのくらいの早さか。一般的には常温常圧で秒速340m、時速1224kmとされています。音速は温度によって変化します。航空機の巡航高度10,000mで仮に外気温がマイナス50℃とすると、音速は秒速300m、時速1080kmとなります。この85%は918km/Hとなり、無風状態では対地速度と対空速度は同じになるので、航空機の対地速度はほぼこの通りとなります。

どうも自分が旅した時期、ベトナムと日本の間の偏西風は特に強いらしい。仮に搭乗した日に時速200kmの偏西風がふいていたとすれば、これに乗った航空機の対地速度が時速1100kmになるのは当たりなのだ。この時航空機の対空速度は時速900kmで、特に速度超過ではない。

と言うようなことを突然思いつき、仕事中でも妄想したりするので、日ごろから気が散って仕方ない。答えが出て良かった。ベトナム航空の機長は安全運航を遵守するエリートだ。間違いない。

乗物大好きの自分は、色々な場所に行きたいし色々な乗物を試したい。そしてそれらを操縦する人をいつも尊敬している。飛行機、船、列車、バス(狭路を巧みに移動する大型バスの運転は見事だ)。自分に出来ないことを出来る能力のある人、それに簡単に触れるためには、乗物に乗って旅をすればよい。さて、次は何処に行こう?